KLの思い出
28日(水)曇。雪がチラつく。錦織君の挑戦も終わった。レッドパージの問題は今回で閉じたい。藤田正先生に対する3人の主事による調査・尋問は宿直日誌、出勤簿等公簿のほか生徒会の新聞「刈谷田」「新樹」に載っている藤田の文章、3年女子生徒の歴史ノート2冊。まるで思想調査だ。
この生徒のノートを調べたことを巡って、校長米倉良雄は石川教職員課長に「藤田君の思想内容を調べたのか、教授内容を調べたのか」と結問。石川「・・」米倉「やはり思想内容を調べたのでしょう。わざわざ生徒が会いに来たのに合わせないとは何たることか!」
石川「陳情という政治問題と混同されると・・」米倉「このことを政治問題とはトンデモナイコトダ!純然たる教育上の問題だ。貴方こそ最初から政治問題と考えていられる証拠ではないか!」当時の校長は敢然と教師を守る気概を持って抗議している。今こんな気骨のある校長がいるだろうか。
フィッシュボールミースープ
今町中学校同窓会委員会は会長・大塚忠名で「我々同窓生在学中藤田教師の勤務状況良とすることを証明する」旨の決議を採択。県教委に提出。今町中学校職員も教頭以下全員の署名で「職員会議での藤田先生の態度は若き純情に燃えるもので、礼を失しているとは思えない」との「弁明書」を提出。
今町中校長は「このような資料をもって教職に不適当だとする判定の根拠とするなら、校長として学校経営もできないし又教育の民主的運営も困難になる。学校教育面において本人が教職として不適当だとするような事実は考えられない」という「釈明書」を提出。
こうして校長を始めとする同僚、保護者、生徒の証言にも拘らず、50年2月6日「休職を命ず」との処分が下された。藤田は受け取りを拒否・返上。主事は「休職後は登校も好ましくない」しかし、後任の三輪校長は「今まで通り学校へは帰省の折でもお立ち寄りください」との親書を藤田先生あてに。
罰金30万円か懲役2年、日本は甘い
その後の裁判闘争で校長、教頭、同僚、PTA会長、卒業生などが証言台に立ったが、やはり一番説得力のあったのは生徒である。最後にそれを紹介する。弁護人「藤田は時間中礼儀を教えなかったと言うが、全然放りっぱなしにしておったのか」生徒(男子)「藤田先生は大変礼儀正しい、責任感の強い先生でした」
「会長の今井さんの話では父兄の99%まで面白くないと言っていると」父兄「それは笑うべきことであります。私が今年の春やめるまで何十回もPTAの会がありましたが一度も藤田先生の悪口を聞いたことはない」当局の期待通りの証言をしたのはPTA会長だけだった。
新潟でのレッドパージでわかることは、政府がその気になれば、いかなる理由をつけてでも気に沿わぬ教師を排除できるということ。ましてや当時に比べ教師の身分を守る法律も教育委員会も格段に弱くなっている。安倍政権なら再びレッドパージをやりかねない。
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