引越荷物の輸送費支給と取り扱い



荷造り輸送費の支給基準

輸送費支給の設定と規制

海外赴任は社員の住居移転を伴うため、家財道具の輸送費もかなり高額になる。企業は社員に移転を命ずるのだから、引越荷物輸送費の支給についても考慮が必要だろう。しかし、家財道具は社員の家族構成などで荷物の内容や量が異なるため、どの程度まで認めるか判断が難しい面もある。
ほとんどの企業は「一定の制限」を設けたうえで、荷造り輸送費を支給している。
制限内容で最も多いのは「重量・容積・数量等」の規制で、ほぼ9割の企業が設定している。
そのうち「輸送費不支給の物件」を規定している企業が約2割を占める。大半の企業は自動車、ピアノ、大型家具、動植物のほか、特殊な梱包を必要とする物、重量や容積の大きい物を輸送費支給の対象外にしている。

重量・容量の制限

重量や容積の制限は船便と航空便に分け、本人・配偶者・子女別に基準を設けているのが一般的である。制限条件を赴任時と帰任時とで比べると、帰任時の方が重量・容積とも高めに設定している企業が多いようである。

引越荷物の保険

保険金額の目安

輸送中の万一の損傷や紛失に備え、引越荷物には必ず保険をかけておきたい。日本の運送業者はほとんど損害保険会社と代理店契約を結んでいるので、詳しい見積書を出してくれる。
別送荷物は、運送業者に渡したときから到着後の指定場所に運ばれるまでに生じた損害に対して補償される。
一定金額以上の荷物は「明細書」に記入し、保険金額は代替品を購入できる価格を目安とする。
貨紙幣・有価証券、動植物は保険の対象外である。
宝石、貴金属類は別途に携行するようにする。
支払われる保険金は、家具や電化製品など修理可能な物は修理実費を、修理不能や紛失した場合は当該荷物の保険金額を基準に支払われる。

保険で補償されない物

携帯荷物は海外旅行保険で補償されるが、スーツケースに入れた現金、有価証券などが紛失しても補償されない。対象はあくまでも「荷物」に限定される。
引越荷物の配送後に損傷が見つかった場合は、運送業者に迅速に確認させ保険会社へ手続きしてもらう。念のため荷物の損傷を確認した者に、写真を撮らせておくくらいの配慮が必要である。

引越荷物の税関手続きと関税

船荷証券の受け取りと保管

税関の手続き

別送荷物を赴任先へ輸送する場合は、郵便小包以外の荷物は税関で通関手続きをしなければならない。通常、手続きは運送業者が代行するが、荷物の船積み完了後に船会社から必ず船荷証券を受け取り保管しておく。
到着地税関では輸入通関の際に、荷物の全品開梱検査が原則とされている。検査は、梱包明細と相違ないか、輸入規制(禁止)品目の有無、課税対象品チェックなどが行われる。その手続きも運送業者が代行してくれる。
通関・荷物の受け取りには、パスポートと船荷証券が必要である。

持ち込み確認が必要なもの

ビデオ機器の持ち込みを情報管制などの理由で許可しない国がある。
ラジオやラジカセもFMの周波数がワイドバンドの場合、警察無線が受信できるなどの理由で持ち込み禁止の国もあるから事前の確認が必要である。

関税が課せられやすい新品の電化製品

関税について

引越荷物は使用中の物品であることが前提で、原則的に免税扱いになる。
新品が多いと到着地の税関手続きの際、関税を課せられることがある。新品は購入時の梱包を解いて使用中の物品と混ぜておくのが賢明である。国や品目にもよるが、特に電化製品は関税を課せられやすく新品を持ち込む場合は注意が必要である。
仮に到着荷物が税関で課税された場合は、税関または運送業者の代理店担当から連絡が入り、その時点で支払えばよい。税額は国や品目によって異なるが、一般的に新品価格にもとづき税関担当官の直接判断で税額が決まる「賦課課税方式」が採られている。

海外引越のトラブル・ケース

運送会社の予定輸送日数と実際の輸送日数が大幅に違う
運送会社の説明はあくまでも概算の日数である。利用者の入国予定日や赴任先国の通関に必要な査証の有無などで、現地で通関が止まる場合もある。入国予定日などの打ち合わせを事前に十分行い、梱包する日程を逆算してスケジュールを組むことが重要である。
輸送費を日本国内で支払ったのに、現地でも徴収された
輸送中に赴任先国で予想のつかない費用がかかる場合がある。運送会社は、その分を事前に日本で精算できない。発注時に国内精算分に含まれない現地での費用を詳細に確認しておく必要がある。
荷物の破損処理の対応
輸送中に荷物が破損・紛失する事故もあり得る。その場合の保険処理方法や迅速に保険請求ができる処置をしておく。
赴任先国での運送会社の作業が遅い
赴任先国の運送会社のスタッフは、日本の運送会社ほどにはテキパキと作業しているように見えないこともある。しかし、日本と就労慣習の違いを理解し、現地業者の言い分も聞き入れ対処する寛容さも必要である。