経済産業活動のグローバル化に伴い、日本企業の海外進出は大企業だけでなく中堅・中小企業にまで広がっている。進出先も北米、欧州、アジアからオセアニア、南米、アフリカなど全世界にまたがっている。その中でも近年は、特に経済成長が著しいアジアへの進出が顕著である。企業の海外拠点に対する位置づけも、これまでのコスト低減や現地市場の確保などからグローバル経営の一翼を担う重要な拠点に変わってきている。
企業活動のグローバル化や海外事業活動の成熟化で、海外赴任社員の役割もよりいっそう重要視されるようになった。海外赴任社員にはグローバル経営の主要な担い手の役割が求められているのである。
そのため、海外の異文化社会に適切に対応できる海外駐在社員の育成や能力開発、現地におけるローカルスタッフ役員・管理職の経営参画の促進、ローカルスタッフと日本人駐在員との公正・公平な評価基準の徹底などが不可欠な課題となっている。
これから海外進出を図る国内企業にとって、それらの課題はきわめて重要である。加えて、より先鋭化する“文明の衝突”、複雑化する世界の政情を反映して発生する爆破テロや企業関係者の誘拐・拉致事件が、「9・11同時多発テロ」以来激増している。企業の安全対策や危機管理能力が、海外進出企業の死命を制するほどのテーマとなってきているのである。
本書は、これから海外進出を計画している企業の国際部・人事部・総務部などの担当者が、海外赴任社員を派遣するにあたり参考となる問題や注意事項を項目別に紹介している。その中には海外赴任社員が自ら取り組み、実践しなければならない項目も含まれているが、主として企業の実務担当者が海外赴任社員に自覚を促すための参考資料として編集している。活用していただければ幸いである。
執筆にあたり「財団法人労務行政研究所」「社団法人日本在外企業協会」等のデータを参考資料にさせていただきました。
1930年に設立され、我が国の企業労使に対して人事・労務管理諸制度に関する中立公正な資料を提供してきた財団法人。特に総合実務資料週刊誌「労政時報」は、豊富で多面的なデータを基に、客観的な記述で偏りのない正確な情報と、企業の人事・労務担当者から高い評価を得ている。労働関係の実務書や月刊誌の編集・発行の他に、人事・労務管理に関する調査研究、法律・実務相談、コンサルティングからセミナーの開催などを通して、我が国の労務管理の発展に寄与している。
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「海外投資行動指針」の普及のために、我が国の主要経済団体の総意として、1974年に設立。その後、国際環境の変化に伴い企業の海外事業展開に関わる諸問題に対応して、さまざまな事業を行っている。主なものは、投資先国の政情・経済・社会環境、海外赴任社員および帯同家族の安全管理・子女教育、ローカルスタッフの育成・労務管理などについての、調査・研究・情報提供や啓蒙・提言、研修・セミナー、海外安全管理に関するコンサルティング・サービスなど。また、機関誌「月刊グローバル経営」は、海外事業活動に関わる諸問題の情報提供や問題提起をする国際経営情報誌として定評がある。
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