海外帰国生 中学入試編



帰国生入試が国内一般入試と大きく異なる点は、帰国生としての出願における資格・条件である。その資格・条件は、海外滞在年数、外国学校または日本人学校の在籍年数、日本人学校在籍生の受験資格の有無や帰国後の期間制限などが細かく決められている。海外滞在年数は2年以上が一般的で、帰国後の制限は中学校によって異なる。詳細は、各中学校の入試要項で受験資格を確認してください。資格・条件に合わない場合には帰国枠での受験はできないが、資格・条件が近い場合には、個別で相談に応じてくれる場合もあるので、各中学校に直接お問い合わせください。

帰国生の受け入れ校

帰国生の受け入れの方針は、下記の3つに大別できる。
1)長期海外滞在者を対象に教科のフォロー・適応指導を目的に設置された学級で、帰国生学級方式と普通学級混合方式がある。主に国立大学附属の施設であるため、設置地域が限定されていること、1学年15名の定員制をとっているため、受け入れ数に限度があることなど、注意が必要。(国立中心)
(帰国生学級方式)
・お茶の水女子大学附属
・愛知教育大学附属名古屋
・京都教育大学教育学部附属桃山
・神戸大学発達科学部附属住吉
(普通学級混合方式)
・埼玉大学教育学部附属
・千葉大学教育学部附属
・横浜国立大学教育人間科学部附属鎌倉
・横浜国立大学教育人間科学部附属横浜

2)帰国生の外国語能力や異文化体験にもとづく特性などに期待して、一般入試と別枠入試により受け入れを行い、入学後も帰国生学級を設置し、補講などの指導も行っている中学校。
・攻玉社・実践女子学園・成蹊など

3)国際教育や外国語学習教科の推進役となることを期待しているが、入学後は一般生と同様の学習カリキュラムによって指導している中学校。(私立中心)

帰国生入試日程

東京都や神奈川県の中学一般入試の解禁日は、2月1日だが、帰国枠入試は年内の11月下旬から開始される。2月1日以前に入試を行っている中学校は、海外・帰国生独自の入試を一般入試と切り離して実施している。東京都・神奈川県で11月から1月に帰国枠入試を実施しているおもな中学校を挙げておく。

<東京都>
男子校:学習院中等科・攻玉社・芝浦工業大学・聖学院・高輪(1回)・立教池袋
女子校:跡見学園・江戸川女子・大妻・大妻中野(1回)・学習院女子中等科・北豊島・共立女子・佼成学園女子・実践女子学園・頌栄女子学院(12月)・女子聖学院・白梅学園清修・白百合学園・星美学園・東京女学館・東京文化・桐朋女子(1月)・トキワ松学園(1回)・文化女子大学付属杉並・三輪田学園・山脇学園・武蔵野女子学院・立教女学院・和洋九段女子
共学校:かえつ有明A・啓明学園・渋谷教育学園渋谷・淑徳・順天(1回)・成蹊・東京成徳大学・広尾学園・宝仙学園・武蔵野東(1・2回)・明星・明星学園

<神奈川県>
男子校:逗子開成・聖光学院・桐蔭学園中等教育・武相(1回)
女子校:北鎌倉女子学園(1月)・湘南白百合学園・洗足学園・緑ヶ丘女子・横浜英和女学院・横浜国際女学院翠陵・横浜女学院・中央大学山手女子
共学校:自修院館中等教育・相洋別学校:桐蔭学園・桐光学園

その他の多くの中学校は、2月1日以降の一般入試と同じ日になる。入試日程をうまく調整すれば、幅広く受験校を選択することができる。
中学入試の場合は、義務教育課程段階にあたるので、国立大学附属中学校をはじめとして私立中学でも通学区域が決められていることがある。いずれにせよ、自宅から無理なく通学が可能な中学校となると受験校はかなり絞られてくる。

帰国生入試選抜方法

各中学校によって選抜方法は異なるが、3つに大別することができる。
1)帰国生に対して定員枠を設け、国内一般入試と別日程・内容で入試をする中学校
2)国内一般入試と同一内容で入試をするが、帰国生を別枠・別基準で選考する中学校
3)国内一般入試とほぼ同じ基準で選考する中学校

1)の中学校では、入試問題が帰国生対象のみの問題で、一部の国立大学附属中学校では、得意な言語の作文と面接、あるいは面接のみというように学科試験を課さず、負担がかからないように配慮しているところもある。
私立中学校は、国語・算数・英語・面接や国語・算数の代わりに英語で受験でき、作文を課す形態をとっているところが多くある。
帰国生独自の問題の学校は、その問題が非公表の場合が多いようだが、中学校に問い合わせると、出題傾向などを教えてくれることもある。

2)や3)の中学校の中で、一般入試と同一問題を課し、選考審査時に帰国生であることを考慮する入試形態をとっている学校もある。早稲田・早稲田実業・海城・豊島岡女子学園などは、一般国内児童と同レベルの学力が要求されるため、日本人学校があり、塾などの補完教育が受けられる地域からの出願が多くなっている。
1)や2)の中学校の中で、英語を中心とした外国語の出題を入試科目にしているところは、日本人学校出身者の出願資格を認めていないので、注意が必要。(頌栄女子学院・成蹊など)
その入学試験の難度は、英検3級から準1級程度と中学校により差がある。特に中学受験の場合、受験の1~2年前に帰国して受験準備をしている人も多くいる。帰国枠受験とは言え、入念な対策が必要になってきている。

外国語試験

<海外・帰国生に外国語試験を課す主要中学校>
帰国枠入試で外国語が課される場合、その出来具合が合否を大きく左右する。合否判定は、現地での学校成績、滞在年数、面接結果等さまざまな角度から総合的に判定されるようだが、外国語のウエイトの置き方は学校によってまちまちである。

受験アドバイス

《学校選びのポイント》
環境も言葉も異なる海外生活が長い帰国生にとって、日本に慣れるというハードルを越えなければならないため、特に学校選びには細心の注意を払う必要がある。その主なポイントとなることをいくつか挙げておく。

1 学校情報を集める
(1)学校の資料を手に入れる。
まず、通学可能圏内にある学校を調べるには、各出版社が出している受験情報誌を参考にする。所在地やアクセス方法、設置クラスやコース、教育方針などの概略はこれでつかめるが、この情報だけでは他校との違いが詳細な部分までは分からない。その学校が作成した案内書や校内新聞などを入手すると詳細なカリキュラムや生徒および卒業生からの生の声が聞こえてくる。

(2)学校説明会に参加する。
ほとんどの学校では、出願者や保護者のための学校説明会や入試説明会を開いている。中心は国内一般生が対象だが、説明会後に個別相談などがあり、情報を収集するにはよい機会である。スケジュールはほとんどの学校がホームページなどで告知しているので、検索して確認してください。
受験校を選択する上で、一時帰国などを利用して、本人を連れて学校見学をするのはとても大切なことである。時期的に不可能な場合は、国内の親戚や知人などに代理参加をしてもらい、情報を入手することを考えてもよいだろう。また、公表されている日程以外でも、事前に担当の先生とアポイントをとり、個別に進学相談をしてもらうことも可能な場合があるので、あきらめずに積極的にコンタクトしてみることである。
また、JOBAでは例年7月末に学校フェア「海外・帰国子女進学相談会」を開催しており、帰国生受け入れに積極的な学校の入試担当の先生をお招きして帰国生のための進学相談会を実施している。こういった機会もぜひ活用して正確な情報を直接手に入れるようにしてください。

2 情報を分析・検討する
学校情報が入手できたら、その情報を家庭の教育方針や子どもの性格などを考慮に入れて吟味していく。
(1)校風を検討する。
パンフレット内容、電話の応対、来校者への対応、校舎の外観、生徒の雰囲気など、いろいろなところに校風は表れる。(一つの情報源だけではなかなか判断は困難なため、前述の情報を入手する際は、手間暇はかかるが、各方面から十分に情報収集を行ってください)最も大切なことは、生徒や保護者自身が直に見聞きし、肌で感じ取ることである。

(2)教育方針を検討する。
公立の中学校は、文部科学省の指導に従い(各都道府県で若干差があるが)ほぼ同一の教育が行われている(中高一貫校を除く)。一方、私立の学校は、各学校独自の教育方針のもと、個性ある教育を行っている。学校の教育方針はその学校の具体的行事やカリキュラムに反映される。特に、学習以外の奉仕活動や芸術活動などを通して人間教育面の活動に力を入れている学校もある。今までの学校選びのポイントは、学習指導のウエイトが大半だったが、学習以外のプラスアルファにも注意を払う必要がある。

(3)教育課程を検討する。
進学校を選ぶ際にはその学校の進学状況を確かめることは学校選びの大事なポイントの一つである。また、教育課程(カリキュラム)をじっくり他の学校と比較することも重要なことといえるだろう。これは多くの場合、学校の発行する要項や案内書に掲載されている。前述したようにその学校の教育方針は、具体的に年間行事、教科時間数、単位表などに表れているので注意して案内等を検討するようにしよう。また、大学附属の学校を選ぶ場合には、系列大学に希望の学部があるかどうかの確認も重要である。

(4)教育環境や教育施設を検討する。
教育環境の一つとして、学校の立地条件がある。教育方針や進学実績が充実していても、帰国生には、最寄駅から学校周辺の環境が合わなければ、学校に通うこと自体が苦痛を伴うことがある。単なる通学時間だけではなく、最寄駅から学校までの通学ルートの環境も確認しておきたい項目である。
伝統校の古い校舎には風情にも似た味があるが、近年の新築校舎は、冷暖房は勿論のこと、ハイテク機器やセキュリティ設備が充実しているところがますます増えている。その他、図書館をはじめとした教育施設やスポーツ施設などの面で、目を見張る充実した設備を備えている学校もある。帰国生にとっては、学習面以外の、芸術やスポーツ活動の継続という点からも、学校選びの要素としておさえておきたい項目となる。ただし、校舎を新築した学校は、入学金や授業料において増額や施設費の徴収など費用もそれなりにアップしてるので、そういった点の確認も必要だろう。

3 学力・適性を分析・検討する
前述した項目は、父母がイニシアティブをとって客観的な分析が可能だが、子どもの学力・適性の分析は、なかなか客観的に行えないことが多い。過大な期待もさることながら、過小評価も子どもたちの学習意欲を損なう原因となることがあるので厄介である。やはり、その子どもの学力・適性を把握している専門家のアドバイスをもとにしながら、親子で対話を重ねていくことが望ましいと言えるであろう。
有名難関国私立大学の高合格率を掲げ、それらの大学の入試科目を中心とした授業カリキュラムを組んでいるような中・高6カ年一貫教育の学校では、帰国子女選考を経て入学した帰国生に対して補講を組み、ていねいに指導している学校もあるが、日本の教科学習に慣れていない帰国生は、その補講ですら苦しむケースも少なくない。内部進学テストの結果、学力不足を理由に併設高校や大学の進学を断念しなければならないケースもある。
したがって、外国での経験や習得した外国語などを大切に考えてくれる学校を選ぶのか、進度の速いカリキュラムを組んだ学校を選ぶのかは、今後の進路にも多大な影響を与えるので、子どもの経歴を踏まえた学力や適性の見極めは、非常に重要なポイントとなる。

《学校選びのワンポイント》
学校選びは、ややもすると選ぶ順序を間違えてしまいがちである。帰国枠のある学校を第一優先事項にした学校選びはあまりお勧めできない。まずは家庭の教育方針や本人の性格・適性に合わせて、本当に行きたい、行かせたいと思える学校を選ぶことである。帰国枠があるかどうかは、その次の確認項目にしておくべきであろう。入学するまでは、どうしても「入りやすさ」が最重要項目に思えるが、最も肝心なのは「入学してから」の6年間、あるいは大学を含めた10年間の学校生活であることに間違いはない。

《面接試験のポイント》
入試において、一般の国内生には課さなくても、帰国生には面接試験を実施するという学校はかなりある。生徒本人だけではなく、保護者にも課す場合もあり、合否における重要性もかなり高くなる。
ここでは、面接試験の主なチェック・ポイントをいくつか挙げておく。
<身だしなみ>
外見で人を判断するのはよいことではないが、外見がその人の第一印象を決める重要ポイントであることも事実である。身だしなみがきちんとできていなければ、「自己を管理する能力に問題がある」と判断されてもしかたがない。服装や頭髪はもちろん、ツメの先まで清潔に保とうとする細かい気配りが必要である。
<面接官はここを確認する・・・生徒>
(1)学力検査や調査書では測れない受験生の人格や性格、意欲などをみる。
(2)事前に提出した調査書の書類などにある疑問点を解消する。
(3)受験生や保護者の入学する意志を直接確認する。
(4)受験生が校風になじめるか、校則を守れるかなどを確認する。
<面接官はここを確認する・・・保護者>
(1)家庭環境や親子関係から、受験生の人格や性格への影響をみる。
(2)保護者の、校風や教育方針の理解度から、受験生の学校に対する適合性をみる。

保護者同席の面接において保護者が気をつけるべきポイントとしていくつかあるが、最も気をつけるべき点は、面接官が受験生に対して質問したことに、助け舟のつもりで横から答えてしまわないようにするという点である。また、基本的に、保護者も返答は簡潔にするとともに、家庭円満で受験生が明るくのびのびと成長している印象を与えることが第一である。

《面接対策とは・・・?》
面接は苦手という生徒は多いようである。また、面接練習ということで、予想される質問に対しての答えをあらかじめ暗記をしてくる生徒も時々見られるが、一般的にこれはあまり良い対策とは言えない。面接官は毎年、何十人、何百人と生徒面接を経験している先生である。質問に対する答えを聞けば、それが暗記してきたものかどうかはすぐにわかる。そういう時、面接官は、本当の生徒の姿を知るために、志望動機や海外生活とは関係のない、まったく予想もしていないようなことを質問したりする。大事なのは、答えを用意して暗記することではなく、これまでの海外生活での豊かな経験や体験を踏まえて自分なりの考えや意見をしっかり言えるようにしておくことである。そのためには、これまでの海外での生活を親子で振り返るような機会を設けてしっかり確認することをお勧めする。また、残された海外生活をさらに前向きに、そして充実させていくことがとても大事である。

帰国生別日程入試の首都圏主要中学校実質競争率

めもらんだむ

<面接試験のポイント>
海外・帰国子女入試では、一般国内生には課さない面接試験を実施する学校がかなりある。生徒本人だけではなく、保護者にも課す場合もあり、合否における重要性もかなり高い。
 ここでは、面接試験のチェック・ポイントをいくつか掲載しておくので、活用していただきたい。また、過去問演習の方法や作文の評価のポイントは、高校入試編を参照していただきたい。
<生 徒>
(1)学力検査や調査書では測れない受験生の人格や性格などをみる。
(2)事前に提出した調査書の書類などにある疑問点を解消する。
(3)受験生や保護者の入学する意志を直接確認する。
(4)受験生が校風になじめるか、校則を守れるかなどを確認する。
<保 護 者>
(1)家庭環境や親子関係から、受験生の人格や性格への影響をみる。
(2)保護者の校風や教育方針の理解度から、受験生の学校に対する適合性をみる。
ポイントはいくつかあるが、返答は簡潔に、家庭円満で、受験生が明るくのびのびと成長した印象を与えられることが第一である。緊張せずにありのままの自分が表現できる
資料提供・編集協力 : JOBA

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