帰国枠受験のイメージは、これまでややもすると「一般枠での受験より易しい」「英語の力で合格可能」「面接・作文が重視され、教科試験は免除されるか、課されない」等々、安易な形で流布されがちであった。しかし、実情はやはり多くの学校で英語・数学・国語の筆記試験を課しており、広く受験校を考えるならば、まだまだ3科の対策を抜きにしては入試を突破することはできない。たとえ帰国生であっても受験校の選択幅を広げるためにはこのことが基本となると考えておいた方がよいだろう。
また、青山学院や中央大学杉並の帰国枠などのように「適性試験」といった形をとりながら総合的な学力を測る試験もある。これに対する具体的・効果的な対策はないが、基本的な学力をきちんと身につけることからスタートさせることが大切である。
さらに、最近は帰国枠そのものの入試形態を再考する流れがおきている。たとえば、今や大学受験では広く実施されている「AO入試」の影響が高校入試にも出始めてきている。これはボランティア活動などを含め、現地での学習に一生懸命取り組み、成績的にもよい結果を残せるようにしておかなければならないと言うことを意味している。早稲田本庄のI選抜入試(帰国生自己推薦入学試験)などはその顕著な例と言えるだろう。決して前述したような安易な考えでは今の帰国受験には太刀打ちできな
いことは明白である。
さらに、インターネットの普及により学校案内をはじめとして、昨年度の入試結果や来年度の入試要綱など各自で調べることが容易な時代になっている。こういった情報をいち早く入手し、受験準備をしっかり整え、志望校合格に向けたスケジュールを組んでください。
帰国生入試が国内一般入試と大きく異なる点は、帰国生としての出願における資格・条件である。その資格・条件は、海外滞在年数や帰国後の期間制限などが細かく決められている。
特に気をつけておかなければならないのは、現地校や国際校から直接受験する場合に、原則としてその国の学校教育9年の課程を修了または3月末までに修了見込みであることが条件になっていることである(一部の私立学校では次年度の6月終了見込みも可としている)。
海外滞在年数は、2年以上が一般的で、帰国後の制限は高校によって異なる。各高校については、入試要項の受験資格を参考にしてください。資格・条件に合わない場合には、帰国枠での受験はできないが、資格・条件が近い場合には、個別で相談に応じてくれる場合もあるので、各高校に直接お問い合わせください。
現地校(国際校)出身者と日本人学校出身者とでは異なる入試や入試形式を選べるなど帰国生に配慮した選考が行われている。また、帰国生の特性を十分に考慮し、入学後もその長所を伸ばすために計画的な教育が行われているので、現地校や国際校に長年在籍した帰国生には最も適した学校と言える。
| 国際基督教大学 | 東京都 |
| 南山国際 | 愛知県 |
| 同志社国際 | 京都府 |
| 関西学院千里国際 | 大阪府 |
| 筑波大学附属 | 東京都 |
| 筑波大学附属駒場 | 東京都 |
| 東京学芸大学附属 | 東京都 |
| 愛知教育大学附属 | 愛知県 |
| 名古屋大学教育学部附属 | 愛知県 |
| 大阪教育大学教育学部附属池田 | 大阪府 |
| 広島大学附属 | 広島県 |
このうち、筑波大学附属・筑波大学附属駒場・広島大学附属では、一般入試同様の問題を5教科で実施するが、残り4校では、科目数が軽減されて、国語・数学・英語の3教科入試になっている。
国語・数学・英語の3教科入試で、一般入試と同一問題によって入試を実施することが殆どである。上述の学校と同様に入学審査の際に「特別な配慮」をすることになっているが、入学後は国内一般生と同様の扱いになる。
国内の国公立高等学校の一般入試科目は、国語・数学・英語・社会・理科の5教科である。
帰国生入試では、5教科を課している高等学校は「帰国生に対して、特別な受け入れ枠や受け入れ体制を持つ学校」に含まれる国立大学附属のうち4校と、少数の県立高校に限られる。それ以外の国公立・私立の大半の帰国生受け入れ高等学校では、国語・数学・英語の3教科の学科試験や面接によって選考される。中には、国語・英語の2教科と面接、英語の1教科と面接、作文と面接、面接だけといった選考方法をとる高等学校もある。
通常は入学試験(筆記試験)の総合点で合否が決定されることが多いが、海外・帰国生入試においては、その特徴を考慮して、各学校でさまざまな観点から選考が行われている。
以下、具体的なパターンを紹介しておく。
・東京学芸大学附属大泉・都立国際・土浦日本大学・暁星国際・啓明学園・桐朋女子・広尾学園(旧順心女子学園)・同志社国際・立命館宇治・関西学院千里国際など
現地校・国際校出身者は国内中学校と異なる制度やカリキュラムで教育を受けているため、現地校・国際校の成績を重視し、作文や面接だけで選考する。一方、日本人学校出身者は、3教科の入試で選考する。「国語」に「作文」などが加わり、一般入試とは別問題を課す別枠の募集・選抜方法を採用している。
現地の教育制度やカリキュラムで学習している生徒にとっては、現地校の学習に専念できるという点で、受験しやすくなっている。そのために応募が集中して、倍率が上昇することもあり、一概に有利であるとは言い切れない。
・江戸川学園取手・渋谷教育学園幕張・桐蔭学園・慶應義塾湘南藤沢など
入試科目が「英語」と「面接」や、入試では一般入試と同一の問題だが、3教科の合計得点が合格ラインに達していなくても「英語」が高得点であれば選考審査段階で配慮している可能性が高いと思われる。英語力を最重視しているため、英語の出題は難度が非常に高いものになっている。
また、桐蔭学園が実施している推薦入試(全ての受験生を対象)は、「適性試験」と「面接」のみを課し、推薦基準としてTOEFL440点(Computer based123点)・英検2級・国連英検B級などという項目を設けて、選考している。
・開成・海城・巣鴨・慶應義塾・慶應義塾女子・慶應義塾志木・早稲田大学本庄高等学院・早稲田大学高等学院などの多数の私立
帰国生も国内一般生も同一日・同一内容の入試を実施する。国内一般入試で、「難関校」と呼ばれる高校は全てこのパターンに含まれている。選考審査段階で、帰国生に対しては、選考基準がやや緩くなっているようだが、現地校出身者であっても国内一般生と同程度の入試学力が要求される。ただし、最近では早稲田本庄のI選抜入試(帰国生自己推薦入学試験)など新しい入試形態も出てきており、今後帰国生の入試形態も変化していくことが予想される。
なお、一部競争率が逆転する学校もあったが、現状では概ね帰国枠の方が合格しやすいようである。
| 過去問演習の方法 |
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| 「過去問演習は、第一志望からやっている」という声をよく聞くが、得てして第一志望の入試問題のレベルは高いことが多いので、自信喪失の原因になることもある。まずは、自分の学力で受け易い学校の過去問の3年間分を終わらせ、第二・第一志望の順にこなすのがよい方法である。この場合は過去3年分程度をやって、出題傾向や問題を解く順番などを時間配分も考えてできれば理想的である。その後、自分の弱点補強をジャンル別に行い、万全の体制を整えておく必要がある。12月下旬から1月頃に集中的にやるのが、最も効果的である。 |
| 作文の評価ポイント |
| 入試における作文の評価ポイントは、一般的に次のようにまとめることができる。 (1)文章表現分野 ①原稿用紙の使い方:句読点・記号・符号が適切か、字数制限が守られているか等 ②文字の書き方:仮名づかい・送りがな・漢字等が正確か、文字が読みやすく丁寧か等 ③語句の使い方:主述の呼応や修飾語と被修飾語の関係が適切か、文体の統一等 (2)文章構成分野 ①取材の仕方:課題に合っているか、材料・資料が適切に取り上げられているか等 ②構成の仕方:段落区分・段落の順序・展開は適切か、書き出し・結びの工夫等 ③論旨のまとめ方:筋道の明確さ、主題がまとまっているか、説得力があるか、 そして何よりも本人独自の考え方が表現されているか等 |

